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英語力は転職に有利?主な英語系試験・資格の概要と、必要なスコアは

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11分

英語力は転職に有利?主な英語系試験・資格の概要と、必要なスコアは

相山 華子(あいやま はなこ)

相山 華子(あいやま はなこ)
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)のテレビ報道部記者を経て、2002 年からライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業の日本語コンテンツ監修も手掛ける。

英語力があると転職に有利だと言われていますが、実際にはどのくらいの英語力があれば、希望する仕事への転職に有利になるのでしょうか?今回のコラムでは代表的な英語関係の資格の概要をおさらいするとともに、必要なスコアの目安や、英語力を活かした転職のために準備しておきたいことを確認します。

CONTENTS

英語力は転職に有利?

TOEICのスコアは影響する?

英語力を活かした転職をお考えの方の中には、より良い条件で働ける職場への転職を目指して、英語力のブラッシュアップに励む方も多いことでしょう。実際、最も知名度の高い英語の試験のひとつであるTOEICを運営する一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が行った「英語活用実態調査2022」(*1)によると、TOEICが採用に影響を与えていることがわかります。社員や職員の採用に際して、「TOEICのスコアを要件としている」と回答した企業は新卒採用では2.1%、英語を使用する部署の中途採用では10.4%となっています。さらに、「TOEICのスコアを参考としている」と回答した企業は新卒採用では36.8%、英語を使用する部署の中途採用では40.3%となっています。中途採用では半数を超える企業が、TOEICのスコアを採用での要件や参考としているのです。

社員の採用でTOEIC L&Rのスコアを要件とする・参考にしている企業の割合

  新卒採用 中途採用
TOEICを要件としている 2.1% 10.4%
TOEICを参考にしている 36.8% 40.3%
要件・参考とする可能性がある 34.7% 27.1%

また、TOEICにはいくつかの種類がありますが、一般的にTOEICと言われるのは、Listening(聞く)・Reading(読む)という2つの英語力を測定するTOEIC L&Rです。この調査では、企業が採用の要件・参考とするTOEIC L&Rスコアの平均として新卒採用で555点、英語を使用する部署の中途採用で670点との結果が出ており、新卒採用よりも、英語を使用する部署の中途採用において、高いスコアの英語力が求められていることがわかります。

*1出典:英語活用実態調査2022 P13

転職に役立つ
英語の資格と
必要なスコアは?

転職に役立つ英語の資格

英語力を活かせる職場に転職するにあたって、役立つ英語の資格としては、以下のようなものがあります(カッコ内は運営団体)。

  • TOEIC L&R(一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会=IIBC)

  • TOEFL iBT(ETS Japan合同会社)

  • IELTS(日本英語検定協会)

  • 実用英語技能検定/英検(日本英語検定協会)

  • 国際連合公用語英語検定試験/国連英検(日本国際連合協会)

  • 日商ビジネス英語(日本商工会議所)

  • Linguaskill Business(日本英語検定協会/旧BULATS)

各資格の特徴

各資格には次のような特徴があります。

資格名
概要
TOEIC L&R
英語によるコミュニケーション能力を幅広く測るテストで、採用試験で英語力を評価する際の指針とされることが多い。テストはマークシート方式でリスニング45分・100問、ライティング75分・100問で990点満点。テストは英文のみで構成されている。試験結果は合格・不合格ではなく、10~990点の「スコア」として表示される。2022年の日本の受験者数は197万人超。
TOEFL iBT
世界の大学・大学院において英語を使って学ぶ際に必要となる英語力を測定するテスト。日本国内での受験方法は、TOEFL iBTテストセンターでの受験、もしくは自宅受験の2つの手段があるが、いずれも試験当日にインターネット配信される問題を、コンピュータを使用して受験する。試験時間は約3時間で120点満点。日本でも毎年100万人超が受験している。
IELTS
英語圏の国々に留学、就労または移住を希望する人々の英語力(書く、読む、聞く、話す)を測るためのテスト。日本国内はもちろん世界140カ国の1600以上の会場で試験が行われる。テストは紙と鉛筆で受けるペーパー版とオンラインで受験するコンピュータ版の2つの方式から選べ、所要時間は約2時間45分。満点は9.0。文部科学省のまとめによると、IELTSのスコア7.0~8.0の場合TOEIC L&Rでは945点以上と同等とされている。*
英検
5級(中学初級程度)~1級(大学上級程度)までの7つのレベルがあり、3級以上では1次試験(ペーパー試験)に加え2次試験(面接)が行われ、後日、合否が知らされる。2022年の受験者数は420万人超。幅広い人を対象にした試験で、学習進度やレベルに応じて受験ができる。1級に合格すると全国通訳案内士(通訳ガイド試験)の筆記試験が免除される。
国連英検
英語力+国際情勢に関する知識を問う検定試験。試験は年2回、全国主要都市で実施され、E級から特A級まで6つの級があり、JICA(国際協力機構)ではC級以上の合格者を派遣職種により語学力の評価基準として採用している。コミュニケーション能力を重視した試験で、B級~E級で出題されるリスニング問題のウエイトは40%、A級以上は2次試験として面接試験を実施し、ネイティブ試験官と国際時事問題について討論を行う。最難関の特A級合格の成績優秀者には外務大臣賞が授与される。
日商ビジネス英検
「書く能力」を重視した検定試験として知られていたが、2023年度から実際のビジネスシーン(電話応対・会議・交渉・接遇等)において即時かつ正確にコミュニケーションできる英語力を問う試験にリニューアルされた。自宅等のパソコンで受験できるIBT(Internet Based Testing)方式で、受験機会の拡大が図られている。
Linguaskill Business
ケンブリッジ大学英語検定機構が開発し、実際のビジネスシーンに必要な英語でのコミュニケーション能力を測る能力評価試験。リモート受験・社内受験・公開会場受験の3つの形式から選択でき、オンラインで、リモート監視システムによる管理・監督下で24時間365日受験できる。スピーキング、ライティング、リーディング、リスニングの4分野で試験時間は計2.5時間。2019年12月にサービスを終了したBULATSが名称変更したもの。

*参考:文部科学省「英語の資格・検定試験に関する基礎資料」

必要なスコア

どの資格にもそれぞれ特徴がありますが、日本国内の企業(外資系企業含む)で英語力を測る基準として最も一般的に採用されているのは、TOEICです。TOEICの最高点は990点ですが、ビジネスで役立てるなら最低でも600点は必要だと言われています。では、具体的にどのくらいのスコアであれば、転職に役立つのでしょうか?実際の求人広告の内容などを元に、スコア別に応募可能な仕事の例を調べました。

スコア 応募できる仕事の例
600点~ 一般的な日本企業の社員
700点~ ・外資系企業のマネージャー秘書
・メーカーの海外営業職
・商社の貿易事務
800点~ ・役員秘書
・大手建設会社で海外プラント工事のマネージャー
・大手自動車メーカーでプロダクトマネージャー
・上場企業の内部監査
900点~ ・外資系コンサルティング会社での同時通訳、翻訳業務
・大手ゲームメーカーの英文事務
・国際機関の海外研修コーディネーター

一概には言えませんが、全体的な傾向としては、税務や監査、コンサルタントなど、英語を使って行う業務の専門性が高い仕事ほど、求められるTOEICスコアも高くなっているようです。なお、求人広告で「TOEIC●●点以上必須」などと謳っていない企業でも、TOEICの高スコアは採用時に高く評価されます。英語力を活かした仕事への転職を考えている人は、英語力のさらなるブラッシュアップに努めましょう。

また、一般的には知名度も高いTOEICですが、TOEFLやIELTS、国連英検なども英語力の高い人たちから評価の高い試験であり、そうした試験のスコアを評価する企業もあります。

英語力を活かした転職のために準備しておきたいことは?

外資系企業への転職を希望するのであれば、英語力のブラッシュアップと併せて確認しておきたいのが、外資系企業に転職する際に求められる英文の履歴書です。英文の履歴書には、CV(curriculum vitae、カリキュラム・ビタエ=ラテン語で「人生の道筋」の意)と呼ばれるものと、レジュメ(Resume、フランス語で「まとめ」の意)と呼ばれるものがあります。日本ではCVもレジュメも同じ「英文履歴書」を指す言葉として使われることも多いのですが、厳密にいうと2つは異なる書類であり、海外では明確に使い分けられることもあります。

CVとは

CVは、職務経歴、学歴、受賞歴、これまでに受けたことのある助成金や奨学金、関わった研究プロジェクトなどを詳しく記載した文書のことで、主にヨーロッパで履歴書として使われています。趣味や性格、仕事に直接は関係のないスキルなど個人的な自己紹介も書くことができるため、数ページにわたることも珍しくありません。

レジュメとは

レジュメは、職務経歴、スキル、学歴を端的にまとめた文書のこと。できるだけ端的にまとめるのが良いとされており、1~2ページにまとめるのが原則です。レジュメはヨーロッパではあまり使われず、アメリカではCVとレジュメがそれぞれ別の文書として認識されています。

CVとレジュメは両方必要?

CVを求められるか、レジュメを求められるか、もしくは両方を求められるのかは、企業によって異なります。どちらを求められてもスムーズに提出できるように、事前にCVとレジュメの両方を用意しておくと安心です。また、この2点については常にアップデートをしておきましょう。時間の経過で年が変わることへの対応も必要ですし、キャリアやスキル、資格などの情報も常に最新のものにしておくことが大切です。CVもレジュメも、書き方はインターネットなどで調べられますし、フリーのフォーマットをダウンロードできるサービスを提供しているサイトもあります。不安な場合は転職エージェントの担当者に相談するとよいでしょう。

派遣社員として
外資系企業で働く
という選択肢も

派遣社員として働くメリット

英語力を活かして外資系企業への転職を考える時、いきなり正社員を狙って転職活動をするのはハードルが高いかもしれません。そこで、おすすめなのが、派遣という働き方です。派遣社員として働くことには、いくつかのメリットがあります。
まずは、時給が比較的高く設定されていることです。実力主義の外資系企業では求められるスキルも高いので、派遣社員の時給は高くなる傾向があります。また、外資系企業では、成果をあげればリターンも期待でき、一般的には、その成果が雇用形態により区別されることもありません。
異文化に触れることができるのも外資系企業で働くメリットです。日本人以外の社員とともに働くことで異文化と接触することもできますし、社内の手続きや人間関係、オフィスの環境も日系企業とは異なる点があるので、新たな発見があるかもしれません。また、仮に派遣された企業と合わない場合は、派遣会社と相談して、次の派遣先を探すことも可能です。
外資系企業で派遣社員として働きたい場合は、まず外資系企業に強い派遣会社に登録しましょう。求職サイトのジョブメリでは、語学力を活かせる外資系企業のさまざまなタイプの求人情報が数多く掲載されています。あなたの条件にあった仕事を探してみてはいかがでしょうか?

まとめ

  1. 英語力は採用に際し要件や参考としている企業が多く、転職にも有利に働く可能性がある

  2. 転職に役立つ英語の資格やスコアをチェックしておこう

  3. 転職活動を始める際には、CVやレジュメを準備しよう

  4. 外資系企業への転職を検討する場合は、時給が高いなどのメリットがある派遣社員として働くという選択肢もある

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