
何が足りない?TOEIC800点→900点にスコアアップする方法
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TOEICはどんな試験?
TOEIC(Test of English for International Communication)は、1979年にアメリカの教育試験サービス(ETS)によって開発された、日常生活やビジネスの場における英語によるコミュニケーション能力を測るための試験です。開始以来、評価基準の国際的信頼度は高く、現在では多くの企業や教育機関で英語力の指標の一つとして採用されています。
TOEICの主な目的は、英語を母国語としない人々が、どれだけ効果的に英語を使ってコミュニケーションをとれるかを評価すること。試験は日常生活ビジネスシーンまで幅広く測定するTOEICと英語学習初級者から中級者向けに日常生活での活きたコミュニケーションに必要な英語力を測定するTOEIC Bridge に分かれ、それぞれリスニング(聞く)・リーディング(読む)能力を測定するTOEIC Listening & Reading(L&R)、スピーキング(話す)・ライティング(書く)能力を測定するTOEIC Speaking & Writing(S&W)の2種類に分かれます。
このうち、最も受験者が多いのは TOEIC L&Rで、一般的にTOEICのスコアというと TOEIC L&Rのスコアを指します。特にビジネスシーンでの英語コミュニケーション力を測る基準として活用されています。
日本でTOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)によると、日本でのTOEIC総受験者数は約195万人以上(2023年度)。企業・団体・学校などの実施団体数はTOEIC Program全体で約3,100に上っています。
IIBCによると、2023年1月~12月の日本人受験者の平均スコアは、以下の通りです。就職の選考では、平均スコアを上回ることでより高く評価される可能性があります。
テストの種類 | 日本人の平均スコア | 世界1位の国と平均スコア |
Listening&Reading | 561/990 | レバノン834/990 |
Speaking & Writing | Speaking 114/200 | Speaking ドイツ161/200 |
Writing 129/200 | Writing フィリピン171/200 |
国際的な機関・企業で働くのに必要なスコアは?
英語を使って働くことが前提の職場、特に高いレベルの英語コミュニケーション能力が求められる国際的な仕事をする企業や組織やグローバル企業などでは、TOEICスコア(Listening and Readingのスコア)が少なくとも800点以上ないと難しいと言われています。
たとえば、英語を使って働ける仕事が多数紹介されている求人サイト「ジョブメリ」で紹介されている求人を見てみると、国際的な仕事をする企業や組織の英文事務職でTOEICスコア800~850点以上、国際博覧会の賓客待遇でTOEICスコア800点以上といった案件が多くみられます。
また、国連開発計画(UNDP)といった国際的な仕事をする企業や組織の募集要項では、TOEICなどのスコアは掲示されていいないものの「英語の読み書きと会話が堪能であること」「他の国連公用語の実用的知識が望ましい」といったコミュニケーションスキルに関する記述があります。これらの要項をIIBによる、TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルの相関※に照らし合わせると、「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」とされるTOEIC860点以上は必要といえそうです。
なお、日本国内にあり、国際的な仕事をする企業や組織との連携や国際協力をはじめとした国際的な活動を行う組織などではTOEICスコアを基準としているところもあります。たとえばJICA(国際協力機構)などでは、社会人採用に掲載されている募集要項に「英語で実務遂行が可能な方(原則TOEIC860点相当以上)」との記載があります。
※参考:
https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/official_data/lr/pdf/proficiency.pdf
リスニングを強化してTOEICのスコアアップを目指す
TOEICのスコアを上げていくためには、まずは基礎的な語彙力や文法力、読解力は欠かせません。そしてTOEIC900点以上を目指すなら、基礎部分の底上げをしたうえでリスニングとリーディング、それぞれの精度を上げていかなければならないでしょう。
特にリスニングに苦手意識を持っている人は多いようです。そこで、勉強方法について紹介します。
◎英語字幕を表示して、「聞いて」「見て」上達を実感
リスニング力アップの定番の練習法として、英語に耳を慣らすことが挙げられます。具体的には、BBCやCNNなどの英語ニュースを聞いて慣らしていくのがおすすめです。ニュースは日々異なる話題を扱うため、多様な単語に触れられます。一方で、報道のスタイルや表現は一定のパターンがあるため、学習しやすいのも利点です。
しかし、TOEICスコアを上げていくためにはただ漫然と聞き流すだけでは足りません。まずは聞くことに集中すること。常に流しておく「ながら勉強」だけではなく、毎日一定の時間、意識して聞き取る「勉強」の時間を設けて理解できるよう訓練していきます。
この時、英語字幕は表示しておいてかまいません。耳で聞いた英語が正解なのかの確認ができるためです。正解がわからないままに勉強を続けるのは難しく、耳で聞こえる英語と目で見る字幕を比較しながら鍛えていくほうが、継続しやすくなります。そして時々、字幕なしで聞いてみると、聞き取れる単語や文章が増えていて、上達を実感できます。上達を実感できればモチベーションも上がり、より継続しやすくなります。大切なのは、毎日、一定量の英語を意識して聞く時間を設けることであり、そのためには字幕があるほうが良いのです。
◎同じ海外ドラマや映画を繰り返し見る
幅広く、数多くの単語や文体に慣れるため、ニュースに加えて別のコンテンツでもリスニングの勉強をしておきましょう。テンポの良い会話が学べる海外ドラマや映画は取り掛かりやすく、おすすめのコンテンツです。ます。自分の英語ベルに合わせて、最初は90%くらい理解できる作品から始めると長続きしやすくなります。
海外ドラマや映画の利点は、何度も視聴できる点です。この時も、英語ニュース同様に最初は字幕ありから始めます。目で、文字で確認しながら理解を深めていきます。慣れてきて、セリフの単語や意味が理解できるようになったら字幕を消して、聞こえてきたセリフ・言葉を即座に真似する「シャドーイング」といった練習法も組み合わせると、精度が高まります。ただし、ドラマや映画の英語は、あくまでも主軸の物語を展開するために作られた「セリフ」である点は覚えておきたいところ。自然な発話ではないことは留意しておきましょう。
なお、Netflix、Hulu、Amazon Prime Video、Disney+ などのサブスクリプションサービスでは、英語字幕と日本語字幕を同時に表示できます。YouTube では、英語字幕が設定されている動画であれば英語字幕付きで視聴できます。
◎海外ドキュメンタリー番組もおススメ
もうひとつお勧めしたいコンテンツが、海外ドキュメンタリー番組です。ナレーションは聞き取りやすい英語で、文章・文法も正しい使われ方をしているものが多いためです。一方で、番組に登場する人が一般人であった場合は、人それぞれの話し方、癖などがあるため、様々な英語への対応力がつきます。海外ドラマや映画のシナリオによるセリフでは補えない部分です。実際に、BBCの海外ドキュメンタリーを活用した英語教材などもあります。
また、ドキュメンタリー番組での勉強法の利点は、自分の興味ある分野から始めることができる点です。リスニングの勉強にマンネリを感じて勉強意欲が少し落ちてしまったときなどは、まずは好きなもの、興味あることからリスタートするのもよいでしょう。もちろん、様々な英語に触れるためにも、異なるジャンルを見ることも必要です。しかし、海外ドラマや映画同様に、まずは同じ番組を繰り返し見て、理解を深めていきます。
シャドーイングを組み合わせて「聞く・見る」+「話す」でブラッシュアップ
前章で、英語コンテンツの視聴時に組み合わせて行うと効果が高まる「シャドーイング」という勉強法に触れました。ここではシャドーイングに加えてディクテーションという勉強法についても紹介します。
◎シャドーイング
シャドーイングとは、通訳の訓練法のひとつで、聞こえてきた音声を、即座に内容を理解しながら真似して声に出す練習法です。聞こえてきた音声のスピードやアクセントなどとまったく同じにするため、集中して音声を聞くようになり、リスニング力の向上が狙えます。音声を「影のように」追いかけることから「シャドーイング」と呼ばれています。
シャドーイングの効果
聞こえてきた音声と同じように発音するためには、まずは音声を聞くことに注力しなければならないためリスニング力の向上が期待できます。また、ネイティブの発音やリズムを声に出すことからスピーキング力も鍛えられます。同時に集中力の強化にもつながります。内容が理解できるよう聞きながら話すという2つのことを同時に行うため、かなりの集中力が要求されます。TOEICのリスニングセクションでは、4つのパートすべてで音声が一度しか流れません。聞き漏らすことがないよう瞬間的な集中力を発揮する場面が、45分のテスト時間内に何度も続くため、集中力強化も大切な訓練となります。
シャドーイングのポイント
シャドーイングは、ただ同じ音を繰り返すだけではありません。一つひとつの単語、文章の意味を理解して行わなければ意味がありません。単なる音読やリピート練習にならないよう注意が必要です。
シャドーイングの効果を高めるためには、事前の準備が必要です。まずは音声の内容を理解するところから始めます。そのため、英語、日本語両方の字幕があると便利です。その後、シャドーイングを行いますが、正確に真似ることが大切ですので、最初は事前の音読をしたり、音声の再生速度を遅くしてみてもよいでしょう。シャドーイングした自分の音声は録音しておき、最後に確認して違っている箇所はないかなど復習します。繰り返し復習して正確に真似ることができるようになったら、次のセリフ、文章へと進んでいきます。
単なる音読、リピート練習にしない
内容、意味を理解しながら聞き、話すことが重要
再生スピードを遅くしてもOK
事前の準備、シャドーイング後の聞き直し復習は必須
◎ディクテーション
音声で聞いた英語を一時的に記憶し、その後文字に書き起こす練習法です。書き起こすことができなかった単語や文章は聞き取りがしにくい苦手な箇所ともいえるため、リスニングの弱点克服に活用する人も多くいます。
ディクテーションの効果
一言一句、漏れなく書き起こすため、リスニング力が高まります。英語特有の音の繋がり(リエゾン)なども聞き分けられるようになる点もディクテーションのメリットです。加えて、書き起こす際に聞き取りに自信がなかった箇所は、文法知識や全体の内容から推測することが可能なため、英語力全体の底上げも期待できます。
ディクテーションのポイント
シャドーイング同様に、ディクテーションも書き起こすこと自体が目的ではありません。書き起こすために正確に聞き取ること。文法知識なども駆使して内容の意味を理解しながら書き起こすことが大切です。特に、正確に聞き取って書き起こすことに集中しすぎると、全体の内容の意味をとらえることができなくなりがちです。聞きながら理解する練習である点も覚えておきたいところです。
まずは、一文ごとに書き起こしていきます。聞き取れなければ同じ一文を繰り返し聞き直すと、苦手箇所の克服にもなります。答え合わせでは、ミスし箇所の分析もしっかり行いましょう。聞き取れなかった原因が何なのか。知らない単語やフレーズだったのか、聞き取れなかっただけなのか。その後、ミスした個所を意識しながら、もう一度全文を聞くと復習になります。
全体の意味を理解しながら書き起こす
聞き取れなかった箇所は繰り返して聞き直す
間違った箇所は、間違った理由を分析し、次につなげる
最後に、もう一度、意識しながら聞き直す
TOEICのスコアアップのための勉強は継続がカギ
TOEICのスコアを300点から400点に上げるよりも、800点を900点に上げていくほうが難しいと一般的に言われています。なぜならTOEICは正答率が低い層にはスコアが上がりやすく、高い層ではスコアが上がりにくいように設計されているからです。そのため、低スコア帯では正解数が少し増えるだけで大きくスコアが伸びますが、高スコア帯では1問あたりの影響が小さくなります。また、300点から400点のレベルでは、英語の基礎を習得することで伸ばせますが、800点から900点に上げるには以下のようなスキルが必要になります。
リスニングの精度向上(細かい聞き取りや、話者の意図の理解)
速読力の向上(限られた時間で長文を正確に理解する力)
推測力の強化(知らない単語が出ても文脈で推測できる力)
これらは単なる知識の蓄積ではなく、英語の処理速度や応用力を求められるため、習得に時間がかかります。より細かな箇所を正確に回答していかなければならないためです。そのためには、英語を自分のものにするべく、毎日の継続が重要となります。
毎日、繰り返し英語に触れることで、スキルや知識は定着しやすくなります。少しずつでも、しっかりと集中して勉強する時間を設け、続けることが大切です。
継続させることに不安がある方は、スケジュールアプリや学習記録用のアプリなどを活用して進捗管理を行ってみるとよいでしょう。アプリは、勉強した時間を可視化できるものや、試験結果を入力できるもの、継続することを目的としたものなどがあります。また、SNSなどで勉強仲間をつくり互いに励まし合う人などもいます。様々なアプリがあり、自分に合ったものを選んで、毎日の勉強を習慣化させて継続していきましょう。
まとめ
TOEICのスコアは英語力を客観的に可視化できるとして、多くの企業で目安に活用されている。また、働く側から見ても、その企業が求める英語力がどのくらいなのかが、わかりやすくなる指標ともいえる。TOEICのスコアをアップし、国際社会で活躍できるようなキャリアアップを目指そう。

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