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働いている人のインタビュー:運営事務局や各種調整など多岐にわたるイベントディレクターの仕事とは

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7分

働いている人のインタビュー:運営事務局や各種調整など多岐にわたるイベントディレクターの仕事とは

岡崎たかこ

岡崎たかこ
都内の小さな編集プロダクションを経て、2013年からフリーのライターとして活動。取材記事やインタビュー記事を中心に、企業広報誌や各種ウェブメディアの制作に携わる。新卒採用や転職関連のほか、グルメや旅行、子育て情報などの案件を多数手がけている。

受けもつ範囲が広く、実際にどのような業務があるのかが見えにくいイベントディレクターという仕事。イベントの種類や規模、内容によって仕事内容が多岐にわたることも、内容をイメージしづらい一因です。そこで今回は、イベントディレクターとして国内外の大小さまざまなイベントを手掛けてきた現役ディレクターに、具体的な仕事内容をお聞きしました。企業イベントとは何か。どのような業務があるのか。イベントの詳細の企画から、事務局運営業務など、イベント当日の現場対応以外の事前業務を含めて細かく紹介します。加えて転職による、業界を超えたキャリアチェンジの可能性もお伝えします。

CONTENTS

イベントディレクターの役割

お聞きした方
日本コンベンションサービス株式会社
Y.K 
イベントディレクター(イベント業務管理士)

―イベントディレクターが手掛ける「イベント」とはどのようなものでしょうか?

Y.K
基本的にはどのイベントにもイベントディレクターがいますが、弊社で私が主に担当するイベントは企業イベントになります。企業イベントは一般的に、企業様が自社のブランディングや、顧客との関係強化、社内のモチベーションアップなどを目的に行うもので、展示会や自社製品などの発表会、ブランディング強化のためのPRイベント、カンファレンス、講演会などの社外向けや、キックオフミーティングや表彰式といった社内向けなどさまざまなものがあります。弊社ではそうした企業イベントに加えて、国際会議や医学会の学術集会などの運営も手掛けています。私が主に担当しているのは、ブランディングや顧客との関係強化を目的とした各種イベントです。そのほか、展示会や学会も担当しています。

<企業イベントとは>
企業が主催するビジネスイベント。製品やサービス・自社のブランディングや、顧客との関係性の強化、社内のモチベーションアップのためなどに行われる催しもの
<企業イベント(一例)>
・展示会・自社製品、サービスなどの発表会・PRイベント・カンファレンス・講演会・学会・キックオフミーティング・表彰式・チームビルディングイベント・式典・会社説明会 など


―イベント時におけるイベントディレクターの役割を教えてください

Y.K
企業様が目指す目的、KPI達成のためにイベント全体をデザインして、当日までの道筋を立てて実行するための各種調整・進行です。BtoBのイベントでは、将来的な関係強化や提携を見据えた場となるため、その目的を果たすためにイベント全体を企画、デザインしていきます。

例えば、スポーツ観戦では、観戦の前後で交流会を企画します。交流会場を企業様のコンセプトに沿った形でデザインして段取りを考え、企業様の目的達成のお手伝いをします。

クライアントと打ち合わせを繰り返して企業イベントの目的や方向性を確認しイベントデザインを進めながら、時にはクライアントの社内調整のお手伝いをすることも。目的達成のためのさまざまな事前調整、進行管理を行うのがイベントディレクターの役割だと思っています。

―当日のイベント時だけではなく、事前の準備段階がとても重要なんですね

Y.K
そうですね。イベント当日は当然ながら重要ですが、そこに至るまでの準備期間に幅広い業務があります。この準備こそがイベントの成否を大きく左右しますし、イベントディレクターの仕事の肝となる部分です。

展示会や「〇〇博」のようなイベントの場合なら、会場使用計画、広報集客戦略、出展者・スポンサー・来場者向けの対応デスク運用など多岐に渡る業務を、目的やKPIを踏まえながら遂行します。イベントの規模によって、担当ごとにディレクターが複数人立つこともありますし、メインディレクターを1人配置してサブディレクターがつくといった形もあります。そこはイベントの内容、規模によってさまざまですね。

イベント開催までの各種調整や事務局運営など多岐にわたる業務内容

―イベントディレクターの仕事内容や、イベント当日までの流れを教えてください

Y.K
例えば展示会であれば、まずイベントの目的などを確認し、イベント全体のスケジュールや企画などを考えて提案します。受注が決まると、具体的に動き出していくわけですが、出展者や来場者の申し込み受付といった「事務局」の業務もイベントディレクターの仕事となります。展示会の広報業務や、どのようなシステムを使って出展者・来場者の受付をするのかといった仕組みづくりと、その実行も含みます。広報業務では、告知スケジュールやその内容を検討・調整し、集客の状況を確認しながら必要に応じて追加の広報手段を手配します。BtoBの展示会であれば、出展者とバイヤーに連絡をとり、当日展示会で商談ができるようマッチングを行う事務局なども運営します。

―講演会や学会などのイベントディレクターの仕事内容は、どのようなものですか?

Y.K
講演会や学会は登壇者がいらっしゃいますので、誰をお呼びしてどのような講演をしていただくのかといったキャスティングをクライアントと一緒に行うこともあります。登壇者決定後は、クライアントの意向を汲みながら登壇者ができることと照らし合わせ、セッションの構成なども打ち合わせます。
登壇者やクライアントが海外の方であれば、渡航の手配やビザの準備などもお手伝いすることもあります。
また、講演にあたってのステージの準備も欠かせません。ステージをどのようにデザインするか施工会社や協力会社と打ち合わせて、細かなところではマイクなどの物品の手配なども行います。

<イベントディレクターの事前準備の仕事(一例)>
準備段階・イベントの詳細な企画立案・スケジュール調整・会場の手配・会場やステージのデザイン、施工、調整・事務局運営(出展者、来場者の対応など)・登壇者や来客の渡航手配
<イベントディレクターの運営当日の仕事(一例)>
・全体進行管理・各ステージなどの進行管理・タイムキープ


―イベントの準備期間はどのくらいでしょうか?

Y.K
イベントの種類や規模によって変わりますが、企業イベントの場合は3~6ヶ月ほどが多いですね。学会はもっと長く、1年ほどから場合によっては3年前といったものもあります。学会で発表するための学術論文の募集から始まり、抄録を作るためです。クライアントが海外なら、何度か視察に訪れることもありますし、会場を抑えるところから始める場合は、3~5年前というのも珍しくありません。

1人のイベントディレクターが担当する仕事は何本ほどですか?

Y.K
イベントの準備期間を含めると、年間を通して常時1~4件は担当しています。イベントは開催時期が比較的集中しやすく、気候の良い春や秋が多め。真冬や真夏は少なめです。いわゆる閑散期と繁忙期ですね。担当するイベントが、1~2ヶ月の間に複数重なることはよくありますし、逆に開催するイベントがない月もあります。イベントがない時期は、ちょうど数ヶ月後のイベントに向けてさまざまな仕込みや準備を行っています。


イベントに参加した方々の心に残るイベントを

―イベントディレクターの仕事の醍醐味、やりがいを教えてください

Y.K
仕事の幅が広く、さまざまな場面でやりがいを感じますが、個人的には提案した企画が採用されて実現したときに大きなやりがいを感じますね。また、用意したプログラムやサービスを、イベントに参加された方が楽しんでいただいている様子を見たり、「楽しかった」と言ってもらえたりしたときはとてもうれしいです。講演会などの場合であれば、「講演を聞いて感銘を受けた」「マインドチェンジした」などの声をいただくと、参加者の方々に何かしらの影響を与えることができるような催しになったのだとうれしく思います。

―難しい点はどのようなところでしょうか

Y.K
イベントは多くの方が関わり開催されます。関係者が多いだけに、調整業務が大変です。数多くの方が関わりますので、予定通り、想定通りに進まないことは多く、その都度、臨機応変に対応していかなければなりません。対応力はかなり求められますね。
私がイベントディレクターとして特に気を付けているのは、イベントの目的や重視する点がぶれないようにすることです。例えば、出展者のPR、認知拡大が目的だったのに、体験ものなどで来場者に楽しんでいただくことを優先しすぎて、製品やサービスの印象付けが薄くなってしまった。逆に来場者の満足度を上げることを目的としたイベントだったはずなのに、企業様のPR色が少し強すぎて、来場者は「もっとステージなどを楽しみたかった」という感想を抱いてしまった、などです。企画を詰めていく段階で当初の目的がズレていくと最終的なアウトプットが変わってしまうため、クライアントと細やかに打ち合わせ、方向性を確認しながら進めていけるよう気を配っています。

―企画を立てる、調整する、実行する。それぞれの技量が求められますね

Y.K
もちろんイベントディレクターごとに得意、不得意はあります。弊社の場合、大きなイベントを行うことも多く、イベントディレクターが複数人で対応することもありますので、それぞれが得意なところを担当する形で進めていくこともできます。イベントディレクターとしての歴が浅いうちは、最初はイベント全体のうちの一部だけを担当するなどして、徐々に経験を重ねていくことで大きなイベントを担当できるようになっていきます。

―最近は、オンライン展示会なども登場していますが、そこでもイベントディレクターは活躍できるのでしょうか

Y.K
オンラインであっても事前の準備など、行うべきことは同じです。円滑なイベント運営のためにも、イベントディレクターは欠かせません。オンラインイベントは、コロナ禍前後から増えてきた印象です。各企業様がDXに力を入れ始め、私たちもオンラインツールを活用することが増えました。講演会でもオンラインで聴講する人が増え、多くのイベントが何らかの形でオンライン化しています。AIなど最新のツールやシステムに触れる機会も多いですね。

みんなで協力してひとつのものを作り上げ、来場者に価値を提供する

―近藤さんご自身は、転職してイベントディレクターになられたとお聞きしました。目指したきっかけを教えてください

Y.K
前職ではホテルに勤めていました。宴会場の予約などを担当しており、宴会場で開催される各種イベントを見ていて興味がわき、この業界に入ってみたいと思ったのがきっかけです。

入社してみると、思っていた以上にイベントディレクターの業務範囲が広く、少し驚きました。イベントの企画や当日の現場対応だけではなく、準備期間中の各種調整や、手配などの細かなところまで担当します。

例えば、会場内の導線などにも配慮して配置を考えていくのですが、そういうところまでイベントディレクターたちが考えて設計していたことは、この業界に入ってから知りました。また、看板からテーブルクロス、席札など来場者の目に触れるものへのデザイン設計から手配についても、イベントディレクターや現場のスタッフが行っています。折って、切ってなど工作的なこともあり、(本当に業務の幅が広いと実感しています。)

―どんな方がイベントディレクターに向いていると思われますか?

Y.K
色々な経験がイベントディレクターに生きてくると思いますが、イベントに参加したことがある、体験したことがあるといった経験はたくさんあったほうがいいと思います。その経験が多いほどイベントの相談をされたときにイメージしやすくなりますし、企画のアイデアも出しやすくなります。各種イベントに足を運び、楽しめる方はイベントディレクターの素養があると思います。

―転職の際に有利な職業などありますか?

Y.K 
業務内容が多岐に渡ることもあり、この職業が有利ということは特にないと思います。ただ、同僚には、旅行会社やホテルなどの観光関連出身の方が多いですね。そのほか、製薬会社出身の方も多いです。医学関連の学会は数が多く、専門性が求められる部分があるからでしょう。また、自社の広報を担当されていた方や、ウエディングプランナーなどのプランを立てる仕事をされていた方も多いですね。でもまったく違う職種・業界から転職された方も多く、本当にさまざまな経験が役立つ職業だと思います。

―最後に、イベントディレクターを目指す方にメッセージをお願いします

Y.K 
弊社では、国際会議や国際的なスポーツイベント、政府や自治体のイベント事業、一般企業のイベントなど大きなものから少人数のものまで、幅広いイベントのお手伝いをさせていただいています。その方の適正に合わせて、さまざまな経験ができると思います。

人と話すことが好きな人、コミュニケーションが好きな人。みんなで協力して目的に沿った場を作り上げ、来られた方に積極的な影響を与えたいという思いがある方は向いているのではないでしょうか。

チームで一緒にイベントを作り上げていきたいという方に来ていただけると嬉しいです。


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