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働いている人のインタビュー:イベント施設・MICE施設運営コーディネーターの仕事とは?

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働いている人のインタビュー:イベント施設・MICE施設運営コーディネーターの仕事とは?

岡崎たかこ

岡崎たかこ
都内の小さな編集プロダクションを経て、2013年からフリーのライターとして活動。取材記事やインタビュー記事を中心に、企業広報誌や各種ウェブメディアの制作に携わる。新卒採用や転職関連のほか、グルメや旅行、子育て情報などの案件を多数手がけている。

様々なイベントや会議、学会などが開催されるイベント施設。業界ではMICE施設と呼ばれ、その施設を利用するにあたり窓口となるのが、施設運営コーディネーターです。主催者やイベント会社などとも連携しながら、施設の魅力とポテンシャルを最大限に発揮させてイベントを成功に導く施設運営コーディネーターとは。縁の下の力持ちの仕事の魅力を紹介します。

CONTENTS

多摩地域に誕生したMICE施設「東京たま未来メッセ」

お話を聞いたのは...
東京たま未来メッセ(東京都立多摩産業交流センター)
H・Mさん
(イベント業務管理士1級)

―そもそもイベント施設、MICE(マイス)施設とはどのような施設なのでしょうか?

H・M
イベントといって思い浮かべるものは、コンサートやフェスなどのエンタメ系のイベントや、「〇〇フェスタ」「〇〇EXPO」「〇〇博」「〇〇展」のようなものが多いかとは思います。ただ、そのようなBtoCのイベントの他に、ビジネスに関連するBtoBのイベントが多数あります。イベントの業界では特にビジネスに関連するイベントを、もう少し細かく分類しており、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う褒賞・研修旅行(Incentive Travel/インセンティブ旅行)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市やイベント(Exhibition/Event)などで、それぞれの頭文字をとって「MICE」と呼んでいます。そして、これらを開催する施設、具体的には国際会議場や国際展示場、民間のカンファレンス施設、ホテルの宴会場などを総称して「施設」や「会場」と呼んでいます。
ただ、このインタビューではMICEを含めて「会議」「各種イベント」といった言い方をさせていただきますね。

<MICEとは>以下の総称
企業等の会議(Meeting)
企業等の行う褒賞・研修旅行(Incentive Travel/インセンティブ旅行)
国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)
展示会・見本市やイベント(Exhibition/Event) 
<MICE施設とは(具体例)>
国際会議場(東京国際フォーラム、パシフィコ横浜 など)
国際展示場(ビッグサイト、幕張メッセ など)
民間のカンファレンス施設(紀尾井カンファレンス、日比谷スカイカンファレンス など)
ホテルの宴会場



―「東京たま未来メッセ」もMICE施設なんですね

H・M
はい。東京たま未来メッセ(東京都立多摩産業交流センター)は2022年に開業したMICE施設で、多摩地域の産業交流や中小企業支援を目的としています。ものづくりを手掛ける中小事業者のマッチングや地域企業のプライベート展といった産業関連のイベントだけでなく、地域住民向けのイベントも幅広く開催されています。

具体的な例で言うと、地域の俳句の会などの集まりの方々にもご利用いただいておりますし、過去にはプロレス興行やeスポーツ大会の会場にもなりました。また、同人誌の即売会やカードゲーム大会などのサブカルチャー的なイベント、きかんしゃトーマスのイベント、東京たま大恐竜博なども「東京たま未来メッセ」で開催されました。

こういった大きな意味での産業交流の施設である点が、当施設の特徴でもあります。


―施設運営コーディネーターの仕事内容について教えてください

H・M
施設運営の仕事の基本は、施設内で貸し出しをしている展示室スペースや会議室スペースの調整と、そこで開催される各種イベントが無事開催され、撤収するまでのお手伝いとなります。

展示室や会議室を利用したい個人または団体、企業が、利用前にどのような施設なのかを質問してきたり、見学しに来たりしますので、その案内から業務は始まります。利用申し込みがあった際に、ご希望の日程や会場の空き状況を確認しますが、ここで大切なのは利用内容、利用方法が当施設で行うことができるのかという確認です。

当施設は公的な施設のため、定められたルールや規約を遵守のうえ、ご利用いただくことになります。主催者は誰か、来場者はどのような方々か、どのようなイベントか。実施予定の内容などを詳しく伺い、安全に実施できるか、消防法などの法令に則っているかなどを判断します。お客様のご希望がルールに反していて実施困難な場合は、別案を提案して、イベントを実施できる方法をお客様と一緒に考えることもあります。

そのため、申し込みを受け付ける前段階での各種確認や調整も施設運営コーディネーターの重要な仕事です。


―各種調整や別案の提案とはどういったものでしょうか

H・M
例えば、イベント会場で「屋台を並べて縁日のような楽しいことをしたい」といったご希望があった場合、裸火の利用が禁止されていますので、ガスコンロではなくIHの利用をお勧めします。しかし、IHは電圧が高いため1つのコンセントにつき1つのIH器具しか利用ができません。イベント会場で縁日のように屋台をたくさん並べたい場合は、複数のIH器具を利用することになります。そのため、電気の配線を増やす工事の必要性を説明したり、飲食を提供する際には保健所の許可が必要であることをお伝えしたりします。

また、会場のレイアウトについても消防法で最低限の通路幅や、避難経路の確保などが細かく定められています。展示室のご利用が初めての方や慣れていない方もいるので、施設で図面を確認させていただき、修正をお願いして何度かやりとりをしていきます。

基本的には「その内容ではできません」とお伝えするのではなく、どのようにすれば申込者、主催者が思い描くイベント等を実現できるのか。そこに寄り添って提案をしていきます。


―その後、イベント当日まで、どのような業務がありますか?

H・M
展示室と会議室では、多少異なります。会議室は最初から机と椅子があり、事前にプロジェクターやポットといった機材や備品類の確認・手配をしたら、当日は準備して鍵をお渡しし、あとは利用者にお任せします。途中で、機材などの使い方の問い合わせがあれば対応し、最後は原状復帰ができているかを確認。用意した機材・備品類を片付けます。

展示室の場合は、基本的には何もないスペースをお貸しするため、先ほどお話したようなイベント内容の確認や提案などを行っていきます。例えば、大人数の会議のため、会議室ではなく展示室を利用する場合、テーブルと椅子を用意したスクールスタイルにするのか、椅子だけを並べたシアタースタイルにするのかといったことや、看板の準備が必要かといった確認・手配ですね。

各種イベントであれば、電気工事や音響設備の有無を確認し、必要な場合には手配します。それに伴い、電気工事費用が発生するため、そのお見積りをつくることもします。もちろん、主催者側でご用意いただくことも可能です。主催者側がイベント開催に慣れている場合や、提携している企業がある場合は施設運営側では内容確認を行うだけとなります。


―イベント前日・当日はどのようなことをするのでしょうか

H・M
まずは機材の搬入と設置ですね。ほとんどの場合、前日も展示スペースをお貸しして、そこで会場のセッティングを行います。
イベント当日は、施設運営コーディネーターの仕事はあまり多くありません。当日起きた設備に関する質問やトラブルに対応する程度です。そのため、数日間にわたって開催されるイベント等では、イベントのメインのコーディネーターだけでなく、他のコーディネーターも対応できるようにし、シフトを組んできちんとお休みがとれるようにしています。

イベント終了後は、撤収作業が時間通りに終わるかの確認をします。準備にも関係することですが、当施設は住宅街に密接しているため、夜9時までにすべての作業を終わらせることが条件となっています。イベント終了時間や利用している設備、備品の量からイベント当日の夜9時までに撤収作業が終わらないことが予想される場合は、申し込み後であっても貸し出し期間を延ばしていただくといった調整も行います。

主催者の「こんなことをしたい」に寄り添う、影の伴走者


―施設運営コーディネーターのやりがいはなんでしょうか

H・M
やはり、主催者の方々のアイデアを拝見して、伴走しながら一緒に形にしていくこと。そして形になったものを見ることができる点や、ひとつのイベントが無事に終わったときの達成感が得られることですね。
イベント全体の流れから見ると、私たち施設運営コーディネーターたちが関わり、一気に業務が動き出すのはイベント準備の後半です。長い期間をかけて準備されてきたイベントの最後の仕上げと本番に関わり、終わった後に来場されたお客様や主催者の方々が楽しかったと満足したり、達成感に満ちて帰られたりするのを見るのは、やりがいがあります。

主催者にはアンケートをお願いしているのですが、「施設の担当者にすごく助けていただきました」などと書いてくださる方も多く、自画自賛になってしまいますが、お客様満足度は高いようです。特に、当施設はこれまでイベントを開催したことのないような、趣味のグループや商店会などのような地元の方々のご利用も多いんです。それだけに大変なこともありますが、その達成感をイベントごとに得られるのもこの仕事のうれしい点です。


―逆に大変なところはありますか?

H・M
変更が多い点でしょうか。多くの場合、最初からイベント内容の詳細まで決まっていることはありません。話を詰めていくしたがって、希望も状況も変化します。最初は展示室1つで予定していたものが大きい展示室になったり、逆に小さくなったり。加えて、展示室で行うちょっとした催しの内容も変わっていきます。先ほどの縁日の話で言うと、電気工事が必要になり、その費用が高いので規模を小さくするなどの変更です。そのたびに見積を出しなおすので、そういった作業が大変な時はありますね。

また、当施設では申し込み時に予納金をいただいており、イベント開催の1ヶ月前までに会場費を振り込んでいただきます。そして、イベント終了後に備品や施設撤去費用など実際にかかった費用を請求させていただきます。振り込みの確認ができなかった場合にお問い合わせしたり、時には催促したりといった業務もあります。

とはいえ、主催者は大きな夢を持ってイベント開催を決められます。「こんなことをしたい」「あれをやってみたい」と夢と希望に満ち溢れているんですね。その夢の詰まったイベント開催のお手伝いができるのは、大変だからこそ楽しさも大きなものになります。


―これまでに開催されたイベントで印象的だったもの、またはエピソードなどがあれば教えてください

H・M
私たちは、ただ施設を貸し出すだけではなく、自分たちから産業支援や交流の活性化などにも力を入れたいと考えております。これまでに私どもで企画したり招いたりしたイベントなどもあり、2023年に開催した東京たま大恐竜博は準備を含めて楽しかったです。地域のお子様たちが来て、ものすごく喜んでくれました。

そのほか、産官学連携をテーマにしたイベント「たま未来連携EXPO 2024」では、当施設が主体となって準備をして各大学にも出展していただくなど、これまでにない産官学の交流を図ることができました。この時は八王子市だけではなく、周辺の立川市や町田市からも出展いただき、この地域での認知度も上がりました。

人が喜んでいる姿を見ると自分までうれしくなってしまう

―どんな方が施設運営コーディネーターに向いていると思われますか?

H・M
施設の利用やその内容の可否が主催者や対象者によって変わるほか、契約後も変更が発生するなど、その都度、柔軟な対応が求められます。物事に対して柔軟に考えられる人は向いていると思います。

コミュニケーションが好きな人も良いと思います。当施設は、地元の方も多く、色々な方がいらっしゃいます。そういった方々とお話しながら、みんなで一つのコトに向かっていく。そこに楽しさや仕事の醍醐味を感じていただける人は、活躍できるのではないでしょうか。

加えて、地域の産業を盛り上げたり、交流を促すことを目的とした施設ですから、地域貢献やまちづくりに関わりたいといった方もこの仕事に合っていると思います。実際、現在いるスタッフは多摩地域出身の方が比較的多いですね。元消防隊員という方もいますし、コールセンターや旅行会社出身の方もいて、多様な人材が集まっています。


―最後に、施設運営コーディネーターを目指す方にメッセージをお願いします

H・M
コミュニケーションが好きで、地域やまち作りに貢献したい方には、向いている仕事だと思います。イベントなどのハレの日感が好きな方。祝祭的な雰囲気があり、参加される方々が楽しそうにしているのを見ていると、自分までうれしくなってしまう。そんなホスピタリティーある方にもお勧めです。

今後は当施設が主体となるイベント開催にも力を入れていきたいと思っています。施設運営コーディネーターながら主催側の立場も経験できるなど業務の幅も広がっていきますので、私たちと一緒に各種イベントをつくり上げていってほしいです。


まとめ


施設運営コーディネーターは、MICE施設の円滑な運営を支える重要な役割を担う。消防法や施設利用規則を考慮しつつ、契約後の変更にも柔軟に対応する力が必要であり、主催者の希望に寄り添いながら実現可能な形へ導く「伴走者」としての姿勢が求められる。

そして、地域に根ざした施設ならではのやりがいも大きく、産業交流やまちづくりへの貢献が実感できる仕事だ。

「人が喜ぶ姿を見ると、自分もうれしくなる」という言葉の通り、イベントを成功へ導く「影の立役者」。コミュニケーションが得意で、地域貢献に関心のある人に最適な仕事といえる。

Job merit

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